ゲームキューブの隠れた超名作「バテン・カイトス」の魅力を徹底的に紹介します
良作RPGが不作だったゲームキューブ
↑ C子はオレンジのやつを持ってました
今からおよそ15年前に任天堂から発売されたニンテンドーゲームキューブ。
懐かしいですね。
Wiiに慣れきった今の小学生はきっと知らないんじゃないでしょうか。
大乱闘スマッシュブラザーズDXやマリオパーティ、実況パワフルプロ野球など、アクションやテーブル、シミュレーションゲームのソフトは多く発売されたものの、実はゲームキューブのRPGソフト発売数は思いのほか少ないんです。
ゲームキューブの全ソフト数(284タイトル)の中で、RPGは実に約20本ほど。
テイルズオブシンフォニアなど、ボリュームがあってシナリオも面白いRPGはそこそこ発売されていたものの、全体的に良作RPGに恵まれないハードとしてその名を馳せていたゲームキューブ。
バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~発売
しかし、時は2003年12月5日。
ゲームキューブにおけるRPG界に一筋の光、いや、今後のRPG史に爪痕を残すような作品が発売されます。
それが今回紹介する、
バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~
です。
グラフィック、ストーリー、戦闘システム、世界観、BGM、どれを取っても一級品。
しかし、ゲームキューブというあまり売れなかったハード、ややとっつきにくいキャラデザやパッケージのせいか、いまいち世に知れ渡っていない、いわば隠れた名作。
※11/15現在
Amazonでは、未だに新品が10,000円を割ることはありません。
カスタマーレビューも堂々の星4.5!
※中古価格は安いから安心してね!
ゼノサーガシリーズで有名なモノリスソフト、スターオーシャンシリーズでサウンドを担当していたトライクレッシェンドの2社が提携して制作したこの作品。
シナリオ脚本は、私も大好きなゼノギアスやクロノ・トリガーで脚本・演出を手がけていた加藤正人氏。
ミュージックコンポーザーは、テイルズシリーズやスターオーシャンシリーズ、ヴァルキリープロファイルシリーズでおなじみの桜庭統氏。
魅力的なキャラクターデザインは、元スクウェア社員、現在は有名TCGやチェインクロニクルなどでデザインも手がける、日暮央氏がそれぞれ担当。
キャラクターに声を当てる声優陣も、主人公役に鳥海浩輔氏、ヒロインにはたかはし智秋氏、他にも岸尾だいすけ氏や茶風林氏など、豪華なメンバー揃いで制作された作品です。
ストーリーも面白い、音楽も最高、戦闘も超楽しい。
なのになんでこんなに売れてないの!?
なんでみんなバテン・カイトスやったことないの!!??
そんな思いを10数年ものあいだ温めながら生きてきましたが、そろそろ限界です。
なので今回は、C子の超オススメRPGである「バテン・カイトス」を、
- グラフィック
- ストーリー
- マグナス
- 戦闘システム
- 音楽
の5つの観点から紹介していきたいと思います。
超美麗!今もなお見劣りしないグラフィック
まずはグラフィック面。
細部まで繊細に書き込まれ、幻想的でとても美しい雰囲気が、バテン・カイトスの特徴です。
上記の画像は帝国アルファルドのワールドマップ画面。
バテン・カイトスは、大陸が島となって空に浮かんでおり、いくつもの大陸間を移動して物語が進みます。
こちらはフィールド画面。
PS3で最近出たゲームだよ!と言われても信じてしまいそうなほどのグラフィック。
これが10年以上前、しかもゲームキューブのソフトなのは驚きです。
こちらは虹の国アヌエヌエのワールドマップ。
花の街やジャングル、滝の村など、緑や自然が豊かな大陸で、右手に大きく掛かっている虹の輪が特徴的。
主人公が最初にたどり着く村、農村ケバルライ。
あたたかい農村の雰囲気が出ていて素敵です。
古いゲームで、グラフィックがドット絵でも面白いゲームはたくさんあります。
グラフィックがゲームの全てではありませんが、ゲームの雰囲気に上手くマッチした絵は、それだけで冒険心をくすぐられますよね。
中盤でまさかの展開に!目が離せないストーリー
RPGで最も重要といっても過言ではないストーリー展開。
バテン・カイトスは、王道RPGのようなストーリーを踏襲しつつも、中盤~終盤ではあっと驚く展開が待ち受けています。
ネタバレになってしまうので詳細が言えないのが苦しい…!!
もちろんRPG的な熱い展開も。
キャラクターそれぞれにしっかりと物語があって、「なんでこのキャラ一緒に戦ってんだ?」みたいないまいち存在意義のわからないキャラがいないのも◎。
まさかあのキャラクターが!?
そこでそうなったらあそこはどうなってしまうの!?
あいつ、敵だったけど実はまさかそんな…!!
といった感じの面白いシナリオが満載で、最初から最後まで矛盾なく綺麗にまとまっており、ユーザーからは高い評価を得ています。
気になる伏線も多く、またしっかり回収もされるので、改めて2週目をプレイしたくなる作品でもあります。
主要キャラクター紹介
引用:http://bandainamcoent.co.jp/cs/list/batenkaitos/chrs/index.html
実際に操作できるキャラクターは上記の6名。
一番左上の青年「カラス」が本作の主人公にあたるキャラクターです。
しかしこのゲーム、プレイヤー=カラスではないのが最大のポイント。
プレイヤーは「カラスに取り憑いた精霊」としてパーティの仲間になりますが、実体をもたない意志だけの存在で、固有のグラフィックもありません。
ときどきカラスや仲間たちに、
「○○(←プレイヤー名)はどう思う?」
などと質問を投げかけられ、それに選択肢で答える形で物語に関わっていきます。
前述のとおり、このシステムがバテン・カイトスのストーリー上非常に重要なポイントで、かなり大きな意味を持っています。
それがどんなものなのかは、クリアしてのお楽しみ。
世界観を形作る重要な要素「マグナス」
引用:https://www.nintendo.co.jp/ngc/gk4j/magnus/
「マグナス」とは「マグナ・エッセンス」の略で、バテン・カイトスにおけるあらゆる物体の本質のようなもののことを指します。
このマグナ・エッセンスをカードに封印したものもまた「マグナス」を呼ばれ、この世界の人々は誰もがあたりまえにこのマグナスを使いこなしています。
例えば、上記画像の左上のカードは、「火」のマグナス。
火のあるところ、暖炉や焚き火などに近づくと、その「火」のマグナ・エッセンスをカードに封印することができ、簡単に持ち運ぶことができるようになります。
画像右上は「水」のマグナス。
こちらも水のあることころ、泉や水たまり、池などで取ることができます。
他にも、
食べ物のマグナス(ミルクやりんご、海老やごはん、ビール、熱燗、冷凍みかんなど多彩)、植物のマグナス(綺麗な花、ドライフラワー、花束など)、一風変わった謎のマグナス(手切れ金、青だけ残った赤青えんぴつ、制作会社トライクレッシェンドの求人誌、離婚届)など、その数は約1,000種類以上。
ゲーム中に「マグナスリスト」なるものがあるのですが、コンプリートするにはかなりの根気がいるので、コンプ厨の方は燃えること間違いなしです。
持ち運ぶ時間によって姿を変える!?
このマグナス、大変厄介なことに面白いことに、持ち運ぶ時間によって姿を変化させます。
現実世界でも、食べ物を長く放置していたら当然腐りますよね。
バテン・カイトスの世界でもそれを忠実に再現していて、食べ物のマグナスはあまり長く時間が経つと「腐った食べ物」に変化してしまうのです。
この変化後のマグナスが非常に面白くて、例えば「ぶどう」のマグナスをずっと所持していると「腐ったぶどう」になり、さらに時間が経つと「貴腐ワイン」となります。
他にも、「青いバナナ」→「黄色いバナナ」→「黒いバナナ」や、
食べ物以外でも、
「ぼや」→「大火事」→「保険金」(やたらとリアルで怖い)
「ちょっとした借金」→「利子の付いた借金」→「雪だるまの借金」→「借金地獄」(早く返済しろよ!)
など、マグナスの変化がめちゃくちゃ面白い!
あわせて、マグナスひとつひとつの説明文も凝っていてかなり面白いので、一見の価値ありです。
もちろん、この時間経過でしか手に入らないマグナスも多いので、マグナスコンプリートはなかなか至難の業!
戦闘のマンネリを解消する、新しく斬新な戦闘システム!
従来のRPGにはなかった、斬新な戦闘システムが本作の特徴。
言葉で説明するのは難しいので、興味のある方は一度動画をご覧ください。
この戦闘システム、非常に面白いのですが、逃げるのにも「逃走」のマグナスが必要で逃げたい時に逃げられないことや、戦闘のテンポが悪いことなどがよく批判されがちです。
しかし、戦闘はシンボルエンカウントのため、戦いたくない時や急いでいる時は敵シンボルを避けて進めば、戦闘そのものを回避することも可能。
なにより戦闘が本当に面白いので、思わず敵とぶつかって戦いたくなることの方が多いこと間違いなし!のシステムです。
戦闘でもマグナスが大活躍
バテン・カイトスは、戦闘においても、前述したマグナスを使用します。
食べ物のマグナスを使うこともできますが、基本的に戦闘で使用するのは戦闘用のマグナス。
剣や魔法、防御装備といったマグナスでデッキを組み、手札のマグナスをコマンドのように選択して戦闘を行います。
従来のRPGのようにコマンドをただ選んでいくだけはなく、いつどのマグナスが出てくるかは完全にランダムなので、戦闘に飽きてAボタン連打…なんてことにならず、最後まで戦闘が楽しめます。
プライズを狙って大ダメージを与えろ!
マグナスには四隅に数字が書かれており、この数字を規定通り合わせて出すと、ボーナスダメージが発生する仕組みになっています。
例えば、
1と1、6と6など、同じ数の数字を揃えると「2cards」で10%の追加ダメージ。
1から9まで順番に出すと、「Final straight sunrise」でダメージはなんと約3倍!
他にも組み合わせは何十通りもあり、これは防御のターンにも適用されます。
このような効果を「プライズ」といい、これを狙うことで更に戦闘に幅が出て、より戦闘を楽しむことができます。
特に、1~9までのカードが順番に出せた時の快感はヤバイ!
戦闘中に海老で鯛を釣る!?SPコンボ
前述した食べ物や植物といったマグナスたちは、戦闘中にも使うことができます。
食べ物のマグナスなどは単体で使用し、体力を回復したり状態異常を直したりすることも出来るのですが、うまく特定のマグナスを揃えて出すことで「SPコンボ」と呼ばれるコンボが発生します
SPコンボ例:
「釣り竿」のマグナス+「海老」のマグナス=「鯛」
「おにぎり」+「ファイアバースト」(炎の魔法)=「焼きおにぎり」
「白紙のノート」+「愚痴の筆」=「ディレクターのノート」(お疲れ様です)
「日本酒」+「ファイアバースト」=「熱燗」
こちらも組み合わせ次第ではかなり面白いものが見られます。
ゲームディレクターって大変なんですね…。
単体で使用するより効果も高め。
こちらも発生したコンボはすべてリストに記録されるので、コンプリートに気合が入ります。
名曲ぞろいで心に残ること間違いなしのBGM
何を隠そうこの作品、音楽が最高です。
Baten Kaitos OST - The True Mirror
↑通常戦闘BGM。
もうとりあえず一回聞いてくれ。
これで通常戦闘!?ラスボス戦じゃないの!??って感じ。
Baten Kaitos OST - Chaotic Dance
↑某ボスキャラの専用BGM。
雰囲気がガラッと変わって、こちらもすごくかっこいい。
Baten Kaitos OST - Vitriolic a Stroke
↑ボス戦用BGM
ギターから始まるフレーズが最高。
Baten Kaitos - Flowing Through the Rays of the Morning Sun
↑某街のフィールド曲。
バテン・カイトスにはたくさん街が出てきて、その全てに固有のBGMがありますが、どれもその世界や街、村の雰囲気にマッチしていて、聞いていてすごく心地良いです。
音楽を担当したのはテイルズシリーズでおなじみの桜庭統氏ですが、桜庭氏がバテン・カイトスの続編を強く希望したほど力を入れて曲を作ったとか。
音楽面でも非常に評価の高い作品です。
なんと続編もあります
このバテン・カイトス、2006年に続編が出ています。
その名も、「バテン・カイトスⅡ 始まりの翼と神々の嗣子(しし)」。
こちらはバテン・カイトス本編開始から20年前の出来事を描いた作品で、前作では語られなかった謎を中心にストーリーが進みます。
良作RPGの続編ってコケることも多くて、「1はよかったのに2は駄作」なんて言われることも多いですが、そこはさすがのバテン・カイトス。
1の良いところを生かしつつ、改良すべきところはきちんと改良し、ひとつのまとまった作品として完成されています。
前作でテンポが悪いと言われていた戦闘シーンも、前作の面白さを崩すことなく改良され、非常に爽快感のあるものに仕上がっています。
ストーリーは政治や軍事といったキーワードを軸に進み、王道ではないものの、前作同様非常に面白く、綺麗にまとまっていて高評価。
パーティキャラクターもグッと減った代わりに、ひとりひとりの物語がより掘り下げられていて、終盤の某シーンでは感動して涙すること間違いなし!
前作のマップやキャラクター、その関係者も多数登場し、前作をプレイしていると更に楽しいですが、「バテン・カイトスⅡ」単体でも十分楽しめます。
総括:頼むからプレイしてください
今までこのブログでも数々のゲームを紹介してきましたが、正直いちばんのオススメはこの「バテン・カイトス」だといっても過言ではありません。
こんなに面白いのに、こんなに名作なのに、周りにプレイしている人が全くいなくて、それがずっと疑問でした。
発売してから十年経ちますが、今のゲームと比べても何ら遜色のない、どこをとっても素晴らしいゲームです。
未だに続編「バテン・カイトス3」を望む声が後を絶たないことも、このゲームの評価の高さを表していると思います。
また、ゲームキューブ本体がなくても、ゲームキューブ用のコントローラーとメモリーカードがあれば、Wii本体でもプレイすることができます。
※クラシックコントローラーは未対応なので注意!
Wiiもメーカー生産が終了してしまうので、お早めに!
正直、「Wii持ってない」、なんなら「ゲームなんかやったことないんだけど」レベルの人でも、イチからWii買って、ソフト買って、コントローラーとメモリーカード買って、なんなら続編も買って、それだけお金をかけても絶対に損はさせません!ってくらいには自信を持ってオススメできます。
なんかもはや「うちの子をよろしくお願いします」的な心境に近い。
どうか「バテン・カイトス」「バテン・カイトスⅡ」をよろしくお願い致します。