現役インストラクターが教える、みんなが知らないスイミングコーチのお仕事
スイミングスクールのコーチとは
「スイミングスクールのコーチやってます」
って言うとだいたいの人に「珍しいね」って驚かれます。
自分の友人の中でも、職場の人以外で同業者って1人もいないので、確かに業界の人以外からしたら珍しい職種なのかもしれません。
それゆえに、
「コーチの仕事って何やってるの?」という質問から、「子どもと遊んでるだけの楽な仕事でしょ」という頭から水に沈めて窒息死させたいコメントまで、色々な意見を頂きます。
なので今回は、私が新卒から辞めずになんとか3年続けている、「スイミングコーチの仕事」について、楽しいことも嫌なことも大変なこと嫌なことも大変なことももうこの仕事早く辞めたくなるようなことも全部紹介しようと思います。
これからスイミングスクールでバイトしたい!って人とか、フィットネス業界に就職したい!って人は、ぜひ参考にして頂けたら嬉しいです。
この仕事についてよく間違われる誤解集ベスト3
第3位
「資格とか必要なんでしょ?」
そんなものは要らぬ(^o^)
クラブによってはクラブ内試験みたいなのがあって、独自の資格システムを設けているところもありますが、基本的に全く泳げない大学生でもコーチになることはできます。
第2位
「毎日ずっとプールにいて、ふやけてなくなりそうだね」
1日8時間も浸かってたらそりゃふやけてなくなりそうだけども、プールにいるのは長くても5~6時間くらい。(個人差はありますが)
ちゃんとデスクワークもしてますのでご安心ください。
第1位
「毎日泳いでるから、痩せられていいね」
一番言われるのはこれ。
もう言われすぎて訂正するのも面倒なので、最近は「そうですね」と答えることにしています。
確かに毎日長時間プールに入ってはいますが、泳いでるのはお客さんや子どもたちであって、私たちコーチではない。
我々は水に浸かって泳ぎのフォームを直したり、補助したりしているだけなので、実は思ったより動いてません。
スイミングコーチのお仕事
Q.じゃあお前ら水泳教える以外に何やってるんだよ
A.なんでもやるよ
インストラクター業
言わずもがなメインはこれ。
メインは子どもたちのジュニアスイミングスクールですが、他にも
- 成人スクール(有料/大人向け)
- ベビースイミング(有料/赤ちゃんと保護者向け)
- プライベートレッスン(有料/少人数)
- ジュニアプライベートレッスン(有料/子ども向け少人数)
- 無料プログラム(無料/大人向け)
- 体験会(無料~有料)
- 短期教室(有料・子ども向け)
- 野外スクール、遠足の引率
などなど。
それぞれ対象とするお客さんが違うので、教え方や言葉遣いなんかも全て変えないといけません。
地味に大変です。
保護者対応・フォロー業務
- 受け持っている子が進級テストに不合格だった時
- レッスン中に何かトラブルがあった時
- レッスン中ずっと泣き通しだった時
- あまりにも下手すぎてヤバイ時
- 体験会の後
などなど、意外とおうちの人と話す機会は多いです。
例えば、
レッスン中に鼻血を出しちゃった時(←めっちゃ多い)
水を飲みすぎたり体調不良で吐いちゃった時(←そこそこ多い)
その他具合が悪くなった時(←ほどほどに多い)
といった体調不良系。
スクールバスで通っている子(親と来ていない子)に関してはプール上がって親に電話かけます。
レッスン中に泣き通しだった時も、
「ママと離れて寂しかったね、でも頑張ったね。次は泣かないで来れるかな?コーチとの約束ね!」
(↑上記の通り寒いので歯をガタガタさせながら話す)
的なことを話して、あまりにも保護者の方が不安そうな顔をしている時は
「最初はみんな泣くんで大丈夫です!むしろ泣かない子の方が珍しいんで!!」
みたいな感じでフォローします。
コーチ的には泣いてる子なんか珍しくもなんともないんですが、意外と保護者の方は
「うちの子泣きっぱなしでどうしよう、超迷惑かけてる、もう通うのやめたほうが良いかな…」
とか思っている人も少なくないので、そんなことないよ、むしろ退会されたほうが迷惑だよという気持ちを押し殺して、必死に安心させます。
体験会の後のフォローは、コーチのセールス力とトークスキルが試される戦いの場。
いかに子どもを洗脳し、親を洗脳し、プールって楽しい、プール習わないとヤバイ、みたいな気持ちにさせるかがポイント。
ありがたいことに、C子は入社してからの体験会後の入会率において異常な数値を叩き出していて、職場では「体験会の鬼」「黒魔術師」「ハンター」などと呼ばれています。
プールの監視・接客
楽なようで大変な仕事。
大人の方はそうそう滅多に溺れないので基本立ってるだけになりがちですが、うっかりボーっとしていると思わぬトラブルが発生したりするのでうかうかしていられない。
監視に加えて、初めてプールを利用する方にはプール設備やレッスンのご案内をしたり、日中は常連さんのお喋りに付き合ったり、泳いでるお客さんにアドバイスを求められることもあります。
他にも水質や設備チェック、清掃など、基本的にプールのことは監視員の全責任。
最近は地震も多いので、いざというときに会員さんを守れるよう知識をつけなければなりません。
ジュニアスイミングの時間帯は、小さい子が溺れないように文字通り張り付いて監視。
他にも毎時間ごとに人数の確認、トイレの補助、レッスンしているコーチのお手伝いなど、割と忙しいです。
デスクワーク諸々
水着を着ていない時は主にデスクワークや館内の点検、片付けなどをしています。
デスクワークでは、
- シフト作り
- 子どもに配るお手紙作りと印刷
- イベントの企画
- 各種ミーティング
- 企業ブログの更新
- 後輩の指導や研修
- 連続して休んでいる子どもには電話のフォロー
- レッスン中にトラブルがあればその処理や保護者への電話
- 進級テストのある月はテストの処理(合否判定や級を全てPCに入力する)
- 子どもの出欠確認
- 誕生日の子どもにメッセージカードを書く
- 館内装飾、ポスター、POPづくり
- 退会分析
などなど。
チーフ・支配人クラスになるとこれ以上にもっと仕事が増えますが、アルバイトができるのはだいたいこれくらい。
もちろん職場によって差はあります。
大変なこと、辛いこと
プールが寒い
大変なことはぶっちゃけ山のようにありますが、この時期一番なにが嫌かと言われたらこれ。
プールが寒いこと。
「温水プールだからあったかいじゃん!」と思われがちですが、水温はだいたい30℃前後。
さらに外気温が低いとプールサイドの温度が下がるので、(これはうちのクラブがボロいだけかもしれない)冬場は地獄です。
じゃあ水温上げれば?って話なのですが、あまり水温を上げすぎると、今度はガンガン泳いでる人が体調を悪くしてしまうんです。
たくさん泳ぐと身体温まるからね!
さらに、レッスン終わりにお母さんにお子さんのフォローに行く…ってなると更に寒い。
30℃のプールから濡れたままの身体で25℃のプールギャラリーに出るのです。
お風呂の中で、濡れたまま窓開けて外の風にあたるとめっちゃ寒いじゃないですか。
あれと一緒です。これは夏でもめちゃくちゃ寒い。マジで死にます。
子どもが多様すぎる
当たり前のことなんですが、子どもの性格ってほんと千差万別です。
賢くて大人しくていい子もいれば、賢いけど生意気でいちいち癪に障る子もいる。
小学生なのに日本語通じない(※日本人)子もいるし、集中力がなさすぎて全く話を聞かない子もいる。
話の聞けるいい子なのに壊滅的にセンスがなさすぎて、何を言っても泳ぎが全くうまくならない子もいれば、落ち着きはないけど運動神経バツグンですぐに上手に泳げちゃう子もいる。
最近は自閉症、ダウン症、発達障害や視覚・聴覚障害の子も受け持つようになってきて、大勢いるなかでその子だけ特別扱いすることもできず、かといって放置するわけにもいかず…子どもを扱うのって本当に難しいです。
泳ぎが上手くならない原因が明確なら話は早いのですが、子どもひとりひとりその原因が全く違います。
うまく原因を見つけ出せてあげられない子もいます。
でもその中でなんとか上手にして、結果を出さないといけない。
小さい子にもわかるような伝え方を考え、工夫しなければいけない。
なおかつ安全面は守って、楽しませなければならない。
このあたりは、外から見ているよりずっとシビアです。
女性特有のアレ
アレです。
正直死ぬほど辛いです。
ひどい腹痛を伴う時は特にヤバイです。いっそ殺してくれって感じ。
しかし、中には「あのコーチのクラスでレッスンさせたいから」と言ってわざわざ時間を合わせて来てくださる保護者さんもいます。
クラスを担当している以上、体調不良だからといってホイホイ休むことは許されません。
冷えは女性の大敵。
そんな中、レッスン後はお風呂ですぐに採暖したり、ウォームスーツを着たり、温かい飲み物を採ったりしながら、女性コーチはなんとか頑張っています。
それでも、冷えから来る体調不良や婦人科系の病気が原因で退職してしまうコーチは多いのが現状。
ほんとツラいんです寒いプール。
↑戦友
いつもありがとう。
でも8時間吸収と謳っておきながら3時間ぐらいで吸収サボるのなんとかしてくれ
嬉しいこと、楽しいこと
基本的に大変な仕事ではありますが、もちろん「この仕事やってて良かったな」って思う時もたくさんあります。
子どもの成長を直に感じられる
今まで出来なかったことが出来るようになった時、これほど嬉しい時はありません。
子どもと一緒になって、ハイタッチして喜んじゃいます。
どんな小さなことでもいい。
泣かずにプールに来られるようになった、1人でプールに入れるようになった、顔に水がかかっても泣かなくなった…
苦労して苦労して教えた子ほど、この瞬間は嬉しいものです。
お母さんに報告に行くと、お母さんも笑顔で喜んでくれるのがまた嬉しい。
これだけでもう、もっと頑張ろうと思えてしまいます。子どもってすごい。
成果が上げられた時
入会が取れた時、子どもが進級できた時、退会を抑制できた時など、目に見えた数字で成果を感じられる時。
スポーツクラブでは入会予算や退会予算が月ごとに決まっていて、みんなそれを越えないように努力しています。
しかし子どもは特に、他の習い事や進学、引っ越しなどでやむを得ず退会してしまうもの。
それをいかに抑えて、入会数を獲得するか。
技術的な面や接客スキル、全てが問われる場面です。
難しいですが、ここで頑張るとめっちゃやりがいを感じられます。
オンリーワンになれた時
保護者の方に言われてすっごく嬉しいのが、
「うちの子、コーチじゃないとだめなんです」
「忙しいけど、コーチのいる曜日に来てます」
など、「私じゃないとダメなんだ!」と言ってくれる時。
これ、ほんっっっっっとうに嬉しいです。
保護者の方に信頼してもらえてるんだな、って思うと、もっと頑張らないとな、と気合いが入ります。
やっていて損はない仕事です
普通のアルバイトなどに比べて、若干専門性もあり、少し珍しく、難しい仕事であるインストラクター。
それゆえに離職率も高いですが、適正のある人にとっては天職ともいえる仕事。
実際、アルバイトが楽しくてそのまま正社員になった人もかなり多いです。
会員さんや保護者の方に失礼のないように話したり、大勢の子どもの前で簡潔に話したり、もしも将来違う仕事に就いたとしても役に立つスキルがたくさん学べる職場だと思います。
個人的には、大学生のアルバイトとしてはかなりオススメ。
オススメとか言いつつキツイことをたくさん書いてしまいましたが、他のアルバイトでは出来ない経験をたくさん積むことができます。
興味のある方、子どもが好きな方、子どもの頃水泳を習っていた方、運動するのが好きな方、アルバイトを探している方、ぜひぜひインストラクターとして働いてみてください!
どうせならお祝い金欲しい
この不況のご時世、採用されただけでお金くれるアルバイト情報サイトがあるらしい。
すごいな!私もここから申し込んどけばよかった!
もちろんスイミングコーチの求人もあります。
レッスンを持つと加給があるところも!
どうせなら採用されてお小遣いゲットしちゃってくださいな。