恋愛小説の巨匠・唯川恵のおすすめ作品を紹介する
小説家「唯川恵」
読書、してますか?
私は小さい頃から本を読むことが大好きで、母や姉が読んでいた、小学生が読むにはまだ早いであろう小説を読み漁って生きてきました。
その中でも特によく読んでいたのが、唯川恵さんの作品。
2001年に、小説『肩ごしの恋人』で直木賞を受賞されている作家さんです。
姉が唯川恵さんの恋愛小説を集めていたので暇つぶしに読んでいたのですが、唯川さんの書かれる文章ってすっごく読みやすいんです。
うちの姉はよくトイレの戸棚に唯川さんの本を置いておくんですが、新作がトイレに置いてあるとついつい私も手にとってしまい、なまじ読みやすいものだからそのままトイレで読了…なんてことも珍しくありません。
尻丸出しのまま平気で2時間ぐらい読みふけってしまいます。
でも決して単純な文章というわけではなく、登場人物の心情やその場の情景がリアルに描かれていて、どの作品もとても面白い!
特に女性なら「あ~わかるわ~」と思ってしまうような「女性の心情」を匠に表現する手腕は、お見事!の一言に尽きます。
また、執筆される小説はほとんどが恋愛小説であるにも関わらずバラエティに富んでいて、ハズレがありません!
どの作品も必ず面白い、安心して購入できる作家さんです。
今回は、そんな唯川さんの作品の中から、特におすすめの小説を紹介したいと思います。
2組の母と娘、結婚をテーマとした最新作
「啼かない鳥は空に溺れる」
正しいのは、母だろうか、娘だろうか。
間違っているのは、娘だろうか、母だろうか。
答えはきっと、母と娘の数だけある。
母と娘の“呪縛”と“依存”をサスペンスフルに描く、
唯川恵氏、待望の長篇小説。
母に疎まれ、母に怯えてきた32歳の千遥は、愛人の援助でセレブ気取りで暮らしている。年下のフリーター・功太郎から熱心に迫られ、なんとなく関係してしまうが、もちろんそんな男を結婚相手として母に紹介できるはずがない。けれど、功太郎が公認会計士の試験に合格し、千遥の気が変わる。この相手なら、母を満足させられるのではないか、と。
母に愛され、母が大好きな27歳の亜沙子は、ずっと母と二人暮らし。母との週末ランチが習慣だ。ある日のランチに母は田畑というおとなしい男を招く。男として魅力があるわけではないが、母がいいという相手だし、とくに嫌なところもないし、と亜沙子は結婚を決める
。結婚を機に、二組の「母娘」が向き合うとき、そこに生まれるのは、謀反か和解か――。
思いがけないラストまで一気読み必至の長篇小説。
こちらは現時点(2016/10/17)での最新作。
2組の母と娘が登場し、それぞれの「結婚」を軸に話が進んでいきます。
母に疎まれ、また自身も母を憎み、しかし母に認められたいという思いの強い千遥。
母と良好な関係を築きつつも、どこか依存めいた関係の亜沙子。
ラストは思いがけずゾッとしてしまう作品です。
美しさは、不公平に与えられてこそ公平である
「テティスの逆鱗」
華やかな美貌で売る女優、出産前の身体に戻りたい主婦、完璧な男との結婚をねらうキャバ嬢、そして、独自の美を求め続ける資産家令嬢。美容整形に通い詰める四人はやがて「触れてはならない何か」に近づいてゆく―。終わりなき欲望を解き放った女たちが踏み込んだ戦慄の風景を、深くリアルに描く傑作長編!
敏腕美容整形外科医の晶世と、晶世のクリニックに通う4人の女性の物語。
もうね、とにかく怖いです。ホラーと言っても過言ではない。
本当に怖いのは幽霊なんかじゃない、人間だ、しかも人間の女だ!と思わざるを得ない作品です。
物語の終盤で、4人女たちの利害・思惑と晶世の置かれている状況を理解した時、そういうことか!とハッとすると同時に恐ろしくなりました。
この記事を書くために久しぶりに本を引っ張り出したのですが、あらすじをさらうだけのつもりがのめり込んでしまい、3時間ぶっ通しで読んでしまいました。笑
個人的にはかなりオススメの一冊です。
彼女たちの厄介な虚栄と、せつなる孤独に捧げる
ヴァニティ
「こんなはずじゃなかった」--悩みながら、泣きながら戦っているすべての“彼女”たちのために。
カバーも帯もない文芸誌のような造本の「唯川恵ひとり雑誌」。バッグに放り込んで良し、丸めて手に持ち歩いて良し、女子必携の1冊。
圧倒的な支持を受ける唯川恵が、アンソロジー等に執筆した中短編をまとめた傑作集。恋愛。結婚。仕事。浮気。不倫。出会いと別れ。女同士の友情。嫉妬--。女の数だけ、ドラマがある。幸せになる女がいれば、不幸になる女もいる。
唯川恵さんの本はハードカバーのものが多いですが、こちらは漫画本のような造りの装丁で、紹介文にもある通り「バッグに放り込んで良し、丸めて手に持ち歩いて良し」の一冊。
唯川さんもこの本の後書きで、
大切に本棚に並べてもらえるのも有り難いが、時には、端っこが折れたり、紙がくしゃくしゃになっても構わない、朝ベッドで目覚めたら自分の身体の下で潰れていた、そんな本があってもいいのではないかと考えたのだ
と語っています。
これは、まさしくそういった雰囲気の本。
短編集なので気軽に読めて、それでいてリアリティーにあふれていて面白い!
唯川さんの恋愛小説はどちらかというとホラーで、サスペンス的な要素が強いですが、この短編集にはほっこりした気持ちになれるお話も多く収録されています。
ハードカバーでないぶんお値段も手頃なため、お試しで買ってみるのもオススメです。
いま幕を切って落とされる、「女」の戦い
セシルのもくろみ
平凡な生活を送る専業主婦・宮地奈央(みやじなお)の生活は一変した。
友人に誘われ軽い気持ちで応募した女性誌『ヴァニティ』の読者モデル募集で思いがけず採用されたのだ。
華やかなファッションの世界に渦巻くモデルたちの様々な思惑に困惑しながらも、奈央は“負けたくない”という自分の中の「女(セシル)」に気付く――。
人気女性誌「STORY」で連載されていた作品の文庫版。
38歳の専業主婦だった主人公・奈央が、思いがけず採用された読者モデルの仕事からモデル業界に飛び込み、そこでの人間模様や女同士の戦いを描いた物語です。
とにかく平凡な主人公とそれを取り巻く美しいトップモデルたちや、同じく読者モデルとして採用された、自分より美しく優雅な女性たち。
最初は落ちこぼれだった奈央にも、いつしか「モデルとして負けたくない」というプロ意識が芽生え始めます。
華やかなモデル業界と、そこで巻き起こる女の嫉妬、陰口、派閥、足の引っ張りあい。
モデル業界を舞台にした話ではありますが、主人公は至って平凡な専業主婦なので共感できるところも多く、ハラハラドキドキしながら読める作品です。
恋愛要素は薄めであるものの、業界の裏が垣間見えたり、とにかくモデル同士の水面下での争いが怖い!
芸能界って本当にこんな感じなんでしょうか。恐ろしい。
どれを読んでも面白い
以上、唯川恵さんのオススメ作品を4つ紹介しました。
正直どれも本当に面白くて絞り込むのが大変だったのですが、なんとか4つに厳選しました。
Amazonのレビューをチラチラ見ていると、どうやら男性読者さんもかなり多い様子。
男性が読んでも十分楽しめると思いますが、女の思惑が本当に怖いので、「女の子にはムダ毛が生えない」的な超理論を信じている男性の方にはオススメしません。
冒頭でも書きましたが、唯川さんの作品は驚くことにその全てがほんっっっっっとうに読みやすいので、物語の世界に入り込んで一気に読めてしまいます。
なんか面白い本ないかな?とお探しの方、恋愛小説がお好きな方、女のドロドロした部分をハラハラしながら見るのが好きな方には、とくにオススメです。
電子書籍でも読める作品が多いので、ぜひぜひ読んでみてくださいね!